最近は時間の無さもあって、家でゆっくりビデオを見ることもなかったんだけど、この前ふとよった馬場の蔦谷で気になる一本を発見!
この映画、ゴッドファーザー、地獄の黙示録で成功しハリウッドでの確たる地位と名声を手に入れたコッポラが大金をつぎ込んで作ったミュージカル。前作があまりに思いテーマだったことの反動かここでのコッポラはとても軽やか、彼の映画への愛が感じられます。
ストーリーは歳をとったカップルが離れたりくっついたりっていう正直全く新鮮味のないものでしかも主役2人がまったく華がなくてうける。オール屋内セットで録った映像は無駄に金かかってるだけあって華やかで楽しいし、良いシーンもいっぱいあるのだけど・・・
まあ見事にこけたらしいっす。
この失敗で自身のスタジオは倒産。ゴッドファーザー3を作らなくてはいけなくなったらしいです。
批判は多いみたいだけどなにか嫌いになれない映画です。コッポラがやりたいことはすごくわかるけど、決してコマーシャルではなかった。少なくともこの路線でいくなら主役をもっと魅力ある役者にすべきだった。その華の無さはこの映画に準主役級で出演しているNastassja Kinski の魅力のまえに見事にくっきり浮かび上がる!
彼女こそが80年代最高の女優。今までも何回か言及した気がしますが(笑)
あまりに美しいのでそれにあった役があまりないという珍しい女優。はまり役は貴族的な衣装で魅せるポランスキーの『テス』なんかのイメージだと思うけど、カジュアルな格好をしたときにこそ彼女の本当の素朴な魅力が出るってのが持論。あとショートヘアが死ぬほど似合う。まあどんな格好してもはまってしまうのだけど。
この説から言えば彼女の三大傑作は
1.『恋の病い』 2.『Paris, Texas』 3.『ホテルニューハンプシャー』(熊女役!!)
ですか。どれもストーリーも含めて面白いと思います。
『恋の病い』は彼女の魅力を最大限に引き出すために録ったかのような映画でデニムのジャケットにショートヘアがお洒落で可愛い。ラストの顔アップがやばい。
『Paris,Texas』は言わずと知れたヴェンダースのロードムービー。彼女自身もキャリア屈指の演技を披露。映画後半ためにためて出てくるんだけど、初めてみたときは衝撃でしたね。こんな美しい女優いるのって。ライ・クーダの水のようなギタープレイ、アメリカ南部の乾いた赤と青の映像など見所は満載。僕の中でも人生ベスト10には入る映画。
『ホテルニューハンプシャー』はジョンアービング原作の素敵なおとぎ話。ここでの役どころは熊です。若き日のジョディフォスターとのレズシーンは映画史に残る名場面か?原作も面白いけどこっちも好きだ。
と、他に面白いものは・・っていうと詰まってしまうのが困ったところ。彼女の仕事の特徴としてアーティスティックというか実験的なB級映画にやたら主演してるのです。勝負してるんだけど最終的にはその仕事の選ばなさが彼女が女優として短命に終わった原因である気がして複雑な気分です。
B級とはいえ結構面白いし、ナスターシャがとてつもなく綺麗っていう映画は結構ありますが、彼女が好きではなければ正直おすすめできないのが多いです。そんなB級映画(DVD化されてないもの多し)を探しまくって観まくってたのが大学4年くらいの時。ちょうどレンタルビデオがVHSからDVDに切り替わる直前の時期でそのころはそんな魅力的なB級映画が結構おいてあったのです。(今のままでいて、キャットピープル、溝の中の月、ムーンリットナイトあたりは普通に面白いと思う。)
その時期に彼女の出演作は一通り観たんだけどこの『ワンフロムザハート』だけは見逃してたのです。やっと観れました。満足。
最近フィツジェラルドの短編を色々読んでいます。彼の創作のテーマの1つにきらめく物への欲求ってのがあるのだけど、Nastassjaをみてるとなにかそれを思い起します。美しいものはこうも短命なのかと。
フィツジエラルド『Winter Dream』って話で主人公デクスターがかつて自分の愛していた輝くばかりに美しい女性が普通のそれなりに綺麗な女性でしたよと人づてに聞いて衝撃をうけるシーンがあります。人生をかけて手に入れようとしてきたきらめくもの、モチベーションにしてきたものがこの世から無くなってしまった絶望感といったらない。すごくわかるこの感覚。
この歳になると自分の歩んできた道ってのがだいぶ後ろに伸びてきているわけで、前を見るにも後ろにいっぱいいろんなものを背負って生きていかなくちゃいけなくて。まあだからなんだっていうんだけれども、せつないよね(笑)
頭に戻るけど、そういう気分でみるとこの『ワンフロムザハート』は悪くないんだな。むしろ好きかもしれません
Nastassja Kinski (Paris, Texas) Music by Ry Cooder
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